こんなの夢にも思わなかったわ!――なんてね。
本当はずっと待ってたの。私の人生、ぜーんぶプロローグだったりして。
とか、ばかみたいになってみても、いいかな。
- 性別 / 身長 / 年齢 / イメージカラー
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女 / 169cm / 26歳 / シンデレラ(#ffc347)
- 好きなもの / 嫌いなもの
- 可愛らしい服や雑貨、甘いもの / 後味の悪い物語
夢見る少女じゃいられない。意思ではなくって現実の話。おとぎ話のお姫様に、ガーリーなドレスやワンピース、リボンにフリルにパステルカラー。物心ついた頃から憧れてきたきらめくそれらが自分から遠い物らしいと知ったのは中学生の時だった。すらりと伸びていく身長に持ち前の正義感から、共学通いにも関わらずついたあだ名は「王子様」。そんなんじゃないわと苦笑する声は月日とともに小さくなって、いつの間にやら自身の年齢までもが“好き”を遠ざけてゆく。大人の女性らしいメイクもファッションも覚えてしまった、面倒見も社交性も思慮分別も備えてしまった20代後半女性に周囲が向けるのは“かっこいい”“一人でも生きていけそう”なんてレッテルで、それを笑って受け入れることしか出来なくなってきた今日この頃。巡にとっての王子様もついぞ現れぬまま、スマホの検索履歴にばかりロマンティックは溜まっていく。そんな彼女が働くのは日本有数の大型テーマパーク。その中央に聳え建つ可愛らしいお城、を見上げる屋外ジェットコースターの案内人として、巡みこと26歳は今日もハンサムに働いている。「それではスリル満点の旅へ、いってらっしゃい!」――私も連れてってくれたらいいのにね。なんて、物語のきっかけになり得る溜息でさえ、大人じゃつく暇も無いらしい。
♪ 巡 みこと(めぐり みこと)
♪ロールサンプル:B
(レディース・アンド・ジェントルマン!陽気な掛け声が園内に響き渡る。時刻は19時30分、テーマパーク『メリーランド』は1日のクライマックスを迎えようとする時刻。光輝くフロートに乗ったキャラクターや華やかなダンサーによるパレードが園内を彩る間にも、巡みことはジェットコースターの出発口に立っていた。モノクロ基調のパンツスタイルの衣装で、お城のてっぺんの灯りが優しく燈るのを今日も見上げて。)――なお、ただいまお乗り頂いているゲストの皆様、本日最後のお客様です。今宵の満月に照らされたメリーランドの景色、どうぞ、お楽しみくださいませ。それでは、スリル満点の旅へ!いってらっしゃい!(ピンマイクを通した凛と通る声で、抑揚たっぷりに今日最後の台詞を届けた。進行方向をまっすぐ指差す姿に「カッコイイ」と黄色い声がほのかに聞こえればその女子高生たちへ微笑んでみせて、ファンサービスめいたことをキメてしまうのも日常茶飯事。まあね、悪い気はしないわ、しないんだけどね。カッコイイ、かあ。何とも言えぬ靄を心中に感じつつも、最早その路線を意識して立ち振る舞っている自分がいるのも事実。そんな自分こそ靄の正体なんだって分かっちゃいるのだけれど、ああ、いやいや、とにもかくにも今日のお仕事はもうすぐおしまい。今日の分の拗らせもおしまいにしましょう。ぐいと大きな伸びをひとつ、閉園時刻まで続くパレードの音楽を口ずさみながら、スリル満点の旅の帰還を待とう――という耳に、頭に、小さくたしかに響いたのは。)、!(――「誰か、助けて。」 聞き間違いだと言われればそうだったと思えるくらいのささやきが、だけど芯を持って彼女をつらぬいた。)何?……上、から……?(夜空へ伸びるジェットコースターの進路へ目をやり、さ、と頭が冷えた。うらはらに鼓動がうるさくなる。頭に浮かんだのは、事故、の二文字で、同僚の驚く声も耳に入らぬまま非常用階段のチェーンを外し駆け上がる。状況を見渡せようという踊り場に届く最後の一段、が、)ッ、え!?(無かった。足元など碌に見ていなかったから分からないけれど、あるはずの一段の感覚が消えた。急速に前のめりに落ちる感覚が止まらず思考回路だけが固まって、思わず強く瞑った目は――、――開いた。……何が何だか、分からない。横たわっていた身体を起こせば、手足は震えてすらいない。微かな風が頬を撫でて、夜の匂いだって感じる。)……生きてる?ここは、…………新エリア?(もしくは死んでて天国だったりして、という仮説は縁起でもなさすぎるので零さぬように。代わりの説は口に出したもののまちがいなことは分かっている。そんな計画聞いていない。頭いっぱいのクエスチョンマークを抱えきれずぼうっと座り込んだまま、見える景色は広がっていくようだ。やわらかな草の、野原、だろうか。可憐な花が揺れて、夜空には溢れんばかりのお星様と、まあるい月。きれい。夢みたいだな、夢なのかしら。まるで蓋をした憧れの中の、おとぎ話の世界みたいだ。――だとすれば迷い込むのは、もっとかわいい女の子でしょ。悲しいかな、頭を過ぎる現実に目を伏せる。いつも通りのモノクロ衣装じゃ、ヒロインなんて役不足。お姫様を救いに呼ばれていたりしてね、と諦めの微笑みを地面に向けている最中――もう一度、聞こえた声は。)