レイカが帰ったら、おれたちはつながっているところからちぎれて、ばらばらになっちゃうのかな。それはなんだろうな、すごく嫌だな。…ああ、でも、そっか。レイカのいたところとファンタスマゴリアはつながっているんだもんな。空がつながってるみたいに、おれたち、きっとちぎれたりはしないよな。(結んだくちびるをほどいて、気難しそうに考えながらこぼした言葉はたどたどしい。道なき道をゆくような不安定さで、それでも一筋のひかりがさした。夢を見るような輪郭は、『きっと』を無邪気に信じたがる。)誇りとか、かっこいいとか、レイカはそう思ってるかもしれないけど、そういうんじゃないんだよ。おれは、…おれはただ、守りたいだけだよ。だって、約束しただろ。だから。それだけなんだ。(ヒューはなんだか落ち着かない。彼女にそう言われるのは悪くない気もちだが、同時にかっこいいことは何だか良くないことに思えた。ちぐはぐな心は後ろめたくて、彼女の視線からヒューはそっと顔を逸らす。)それにしてもレイカはときどき、へんなことを言うよなあ。ヒューがかわいいのは当然だけど、それはどっちのほうがって比べるもんじゃないんだぜ。どっちのほうが好き、ってのはあるけどな。かわいいってのはさ、ひとつきりじゃないんだ。おいしいってのと一緒だよ。人それぞれ好みはあるけど、それは誰にも否定できやしないんだ。ヒューにはヒューの、レイカにはレイカのかわいいがあるんだから。(かわいいことは良いことだし、うれしいことだが、レイカよりって言われるのはなんだかな。自分の好きなものを否定されるみたいで癪だった。素直な口はむすりととんがり、ついついぶつくさ言ってしまう。それでも、彼女の手を取って踏むステップはたのしい。正しさなんてそこにはなくて、自由に踏み出す黒と透きとおる靴。踏んでしまわないように気を付けながら、ヒューは事実を述べたつもりだ。けれど、もにょもにょっとした彼女の音に、きょとんと視線を上向ける。たそがれの上に、夕焼けがあった。)??? レイカ、どうしたんだよ?顔が赤いペンキを塗られた白バラみたい。(口をやまなりにさせて、変なレイカ!と笑ってしまう。よくわからないまま「どーいたしまして!」と歯切れよく言うのは、「いただきます」と「ごちそうさま」の関係とおんなじ。一対になっていて、それ以外だとしっくりこないから。つないだところから一緒になる。朝と夜がまじわる舞踏会を、きっと、『希望』と思いたかった。)
ヒュー〆 2020/02/17 (Mon) 20:03 No.92