(気の良い住人達ばかりの世界だから、納得するようにむすめが頷いてくれれば住人達を代表して弾む笑顔で応じよう。献身的な乙女だけでなく、もっと多くの仲間と出逢いたいと彼女が思ってくれますように。しかし可憐な唇がつぼみのように閉じてしまうなら、あと一歩の口惜しさを感じて男は舌を出して笑う。)キミが笑ってくれるなら変なひとでも何でも良いさ!(落ち着いた物言いのむすめに返す声音は、全く悪びれていない風にけろりと響くだろう。だって、まばゆい太陽の下でひとつでも新たな彼女の言葉を、表情を引き出せたならそれだけで男は喜びを憶えるのだから。)~~……っフフ、心配ご無用!次はボクから倍にしてチャーリーにお返しするからね!(けれど調子に乗ってはいたのかもしれない。物理的に自重を促す硬い衝撃に後頭部をほんのり押さえ、足許に転がり落ちたくるみを拾い上げる唇は僅かに口角を下げていたが、それさえもむすめの笑い声を引き出す材料に出来たのなら重畳だ。拾ったくるみを頭上へ放り投げ、結い上げた髪で円を描くようにくるりとターンしてからキャッチすれば無事であると伝わるだろうか。家を訪ねた頃より随分と雰囲気が和やかになってきたむすめを微笑ましく見つめていたが、驚きに花開くりんどう色と対面したなら男は思わず腹から声を出して笑ってしまう。)ハッハッハ!可愛い顔だね、エトワール!だってああでもしなきゃ、すぐにでもクリケットが始まってしまうところだったよ?それにナイトメアも言っていただろう、良い退屈しのぎになるって。それならボクの得意分野だからね!(大粒の宝石みたいな円い瞳には、ニヤニヤと不敵に笑うお調子者の姿が映った筈だ。陽射しを浴び過ぎた菫が萎れる様に声が小さく落ちてゆこうと、傾ける耳はひとつひとつを聞き留める。うんうん、ふむふむ。いちいち相槌を打って頷く様子はふざけている様にも見えるだろうが、本人としては到って真剣であった。)だれかの声、だれかの声、……それならこの国の住人の声を片っ端から聞いてみようか!うん、やっぱりお茶会に来るのが一番だよ!(全く手掛かりが無いという訳でも無いじゃあないか。そう結論付ける男の方こそ楽観的だっただろう。だからお茶会に到着する頃にはすっかり機嫌よく、鼻歌でも奏でそうな朗らかさでむすめへ告げた。)ファンタスマゴリアを知りたかったらお茶会が一番さ。だってみんなお喋りが大好きだからね、月から落っこちたキミの翼がどこかに転がっているのを誰かが教えてくれるかもしれない。それとも月から聞こえる声を聞いたことが有る誰かが居るかもしれない。きっとキミが戻る方法は見つかるよ。でも、探しものだけじゃ無くて、楽しくて素敵なものも沢山見つけていって欲しいな!(未知の不安が彼女の心を沈ませるなら、知る事で少しでも安心して貰えたら良い。日向のような暖かさを添えて囁けば、空いている椅子を引いては彼女をエスコートする様に目配せを贈ろう。)さあどうぞ、エトワール。まずは乾杯といこう!……おや、この美味しそうなマカロンは誰が持ってきたんだい?(注がれたばかりの紅茶に並ぶカラフルな菓子へ目を向ければ、それは私たち、と手を挙げたのはウサギとリスの仲良し二匹。彼女達は街中のスイーツを知り尽くしているから、その美味しさは間違いないだろうとはこれからの話題の一つになるだろうか。──きらきらと注ぐ陽射しは世界を照らすサスペンションライト。穏やかなお茶会から幕を開ける物語の行く末を、どうぞお見逃し無く。願わくばキミが、紅茶を片手に少しでも楽しんでくれますように!)
ジェスター〆 2020/02/01 (Sat) 11:04 No.114